
こんにちは、スタッフの児玉です。新刊のご紹介です。
1冊目は、全国365店の本屋さんが「この本だけはどうしても届けたい」と思う1冊を紹介しているブックガイドです。当店からもスタッフ宮川が参加しており、熱くさわやかにおすすめの本を紹介しています。「1月 1年の始まりは名作で」「3月 あの震災を忘れない」というように月ごとのテーマが設けられ、季節に合った本が1年分、本屋さんたちの手書きポップと推薦文とともに掲載されています。巻末には参加した365の書店マップ付きです。
THE BOOKS 365人の本屋さんがどうしても届けたい「この一冊」/ミシマ社/1575円

紀行文学で名高いブルース・チャトウィンの自選作品集が文庫になりました。彼を知る人々の証言によれば相当な「おしゃべり」だったそうですが、文章ではその真逆の印象を読者に与えます。内容によっては学術書的な記述になっていてもおかしくないテーマも多く含んでいる旅の「記録」である本書においても、語り口はクールでありながら一篇一篇がまるで小説のように仕立てられているあたりがまた別の意味でクール。見た目もクールなチャトウィンの作品集、濃い旅に関心がある方におすすめです。
どうして僕はこんなところに/ブルース・チャトウィン著/池央耿 神保睦 訳/角川文庫/1000円

最近ニュースや新聞でいじめ問題が取り上げられることが増えています。このたび文庫化された本書はいじめを題材にした小説です。文芸誌上で発表された当時川上未映子さんのまったくの新境地として大きな反響を呼び、また、ここで描かれている内容といじめの実際をめぐって「傍観者の立場で書かれている」といった様な多くの批判もなされました。いずれにせよ、多くの人が本書を通していじめについて考えたのではないでしょうか。いじめは、本を読めば解決できるものではないですし、ましてこの本は小説ですが、ぜひ読んでみてほしい1冊です。川上さんの作品は最近続々と文庫化されており、9月にも対談集が文庫で出る予定です。
ヘヴン/川上未映子/講談社文庫/580円

長崎在住の作家青来有一(せいらいゆういち)さんの新刊が出ました。デビュー前は漫画家を目指したこともあり、ペンネームはアニメ「セーラームーン」に由来するそうですから驚きます。青来さんは原爆について書き続けている作家です。あるインタビューで青来さんは「原爆は強烈なノンフィクションです。体験のない者が、その世界を表すのはリアリティーに欠けるし、現実とずれる。」と発言しています。直接体験したのではない原爆について書くことへの不安と、それでも書かずにはおれない葛藤があったようです。青来さんが描くのは、「ナガサキ」ではなく「長崎」。戦争への関心が高まるこの時期、おすすめの本です。
夢の栓/青来有一/幻戯書房/2940円
以上4点、店頭にて販売中です。
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