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2011年05月14日

奇跡のリンゴ

奇跡のリンゴ 「絶対不可能」を覆した農家木村秋則の記録
幻冬舎文庫 い-40-2

石川拓治/〔著〕 NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」制作班/監修 出版社名 : 幻冬舎
出版年月 : 2011年4月
ISBNコード : 978-4-344-41645-1
(4-344-41645-7)
税込価格 : 560円
頁数・縦 : 260P 16cm




「リンゴの木は、リンゴの木だけで生きているわけではない。
周りの自然の中で、生かされている生き物なわけだ。
人間もそうなんだよ。
人間はそのことを忘れてしまって、自分独りで生きていると思っている」

こんにちは。スタッフの石川です。

今日、ご紹介するのは、「奇跡のリンゴ」という本です。

リンゴ栽培の世界では、長い間、農薬を使わないでリンゴを育てることは絶対不可能だと言われてきました。
他の野菜や果物とは違って、リンゴだけは特殊なのです。
そのリンゴの無農薬栽培に挑んで、30年近くの歳月をかけて成し遂げた木村秋則さんの記録です。

木村さんの言葉ひとつひとつにも、深く温かい心と真理があらわれていて、すごい人だなぁと感じました。

何より、あの笑顔がすばらしいですね^^

農薬を使わなくなってわかったことについて木村さんはこんなふうに言っています。


「農薬を使わなくなってわかったことがあるのな。
農薬を使っていると、リンゴの木が病気や虫と戦う力を衰えさせてしまうのさ。

楽するからいけないんだと思う。クルマにばっかり乗ってると、足腰が弱くなるでしょう。
同じことが起きるわけ。

それでな、リンゴの木だけじゃなくて、農薬を使っている人間まで病気や虫に弱くなるんだよ。
病気や虫のことがよくわからなくなってしまうの。

農薬さえ撒けばいいから、病気や虫をちゃんと見る必要がなくなるわけだ。
人のことを言っているんじゃなく、この私がそうだった。

害虫の卵は、保護色だと言ったでしょう。
小さいし、枝でも葉でも、産みつける場所と同じ色をしているから、なかなか見つからないのよ。

おまけにどの卵からどの虫が孵るかわからないから、害虫の卵のそばのテントウムシの卵を取ってしまったりな。
テントウムシの卵は、オレンジ色をしているからむしろ見分けがつきやすいんだ。

害虫を目の敵にして無我夢中で虫取りをしているうちは、そんなことすら気がつかなかったわけだ。
落ち着いて虫たちのことを眺めるようになって、ようやくいろんなことがわかるようになったのな」



テントウムシは害虫を食べてくれる虫ですが、虫のことがわからなくなってしまうと、害虫の卵には気づかないで、見つけやすいテントウムシの卵だけを取ってしまったりするわけです。

これは、私たちの身体にも当てはまるものなのかもしれないと思います。
たとえば、風邪をひいたときにすぐ風邪薬を飲んで、症状をなくしてしまうと、私たちは風邪について知るチャンスを失ってしまいます。
風邪をよく観察してみると、いつぐらいから熱があがり、いつぐらいから鼻水が出てよくなっていくのかがわかるようになってきます。
そうやって自然に治ると免疫力もアップしてるし、人間にとって病気がどういうものかも見えてくると思うのです。
風邪はもしかしたら、身体の全体の調和をととのえてくれているのかもしれない、と気づけるようになります。

害虫(悪い虫)や良い虫というのは人間の都合で勝手に分けているだけです。
虫に本当は良いも悪いもなく、自然の中で生きているという、それだけです。

一部だけではなく、全体を見たときに、木村さんは本当のことに気づくことができました。

こんなにすごいことを成し遂げた木村さんですが、がんばったのは自分ではなくて、リンゴの木の方だと笑って答えます。


「人間に出来ることなんて、そんなたいしたことじゃないんだよ。
みんなは、木村はよく頑張ったって言うけどさ、私じゃない、リンゴの木が頑張ったんだよ。

これは謙遜なんかではないよ。本気でそう思ってるの。
だってさ、人間はどんなに頑張っても自分ではリンゴの花ひとつも咲かせることが出来ないんだよ。
手の先にだって、足の先にだって、リンゴの花は咲かせられないのよ。

そんなことは当たり前だって思うかもしれない。そう思う人は、そのことの本当の意味がわかっていないのな。
畑を埋め尽くした満開の花を見て、私はつくづくそのことを思い知ったの。

この花を咲かせたのは私ではない。リンゴの木なんだとな。
主人公は人間じゃなくてリンゴの木なんだってことが、骨身に染みてわかった。

それがわからなかったんだよ。自分がリンゴを作っていると思い込んでいたの。
自分がリンゴの木を管理しているんだとな。

私に出来ることは、リンゴの木の手伝いでしかないんだよ。
失敗に失敗を積み重ねて、ようやくそのことがわかった。
それがわかるまで、ほんとうに長い時間がかかったな」


この言葉の中にあるのは、自然への感謝なんだと思います。
自分も自然の一部でしかない。できるのはその自然の一部としてのお手伝いだけだと。

30年近くもかけて成し遂げた偉業にも、自分の力じゃないと言えるのは、本当にすごいことだと思います。

私が木村さんの存在を知らなかった頃、一度だけテレビで木村さんを見たことがあります。
その時の木村さんも、この本の表紙のようにくしゃくしゃの笑顔で、無農薬の学校を作りたいんだ!とおっしゃっていました。

その笑顔を見たときに、「この人はものすごい何かを持っている人だ」と感じました。
そして、その何かは、この本を読んでわかりました。


この本は、農業についての本ではなくて、真理についての本です。
しかも、小難しい事柄についてではなくて、シンプルでとても深い場所へ向かうための。


もし、この笑顔に何かを感じたなら、ぜひ読んでみてください。


あなたの心にも、リンゴの花が満開に咲きますように。



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この記事へのコメント

”奇跡のリンゴ"読みました

著者木村さんの信念と不屈の魂に感動しました

お勧めの一冊です
Posted by 川部 聖一川部 聖一 at 2011年05月14日 18:10
>川部 聖一さん
ありがとうございます。
私も木村さんの魂に感動しました。
あきらめない心は何にもまして強いですね。
私もたくさんの人におすすめしたいと思います。
ありがとうございます。
Posted by ながしょながしょ at 2011年05月15日 10:18
この本は、出会えて良かった本の一つです。
最後「私の船にのりなさい」のところでは思わず涙ぐみました。
木村さんの一言一言がとても重く深く心に響く、そんな本ですね。
もっともっとみんなに知って欲しいです。
Posted by 鷹の目 at 2011年05月29日 16:41
>鷹の目さん
ありがとうございます。
本当にこの本に出会ってよかったと思います。
木村さんのまっすぐな言葉は心の曇りを突き抜けて、まっすぐ届くように感じます。
木村さんフェアを新書コーナー横でやっていますので、機会があればぜひご覧くださいね^^
いつもありがとうございます。
Posted by ながしょ at 2011年05月30日 10:20
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