2011年02月17日
きことわ・苦役列車

出版社名 : 新潮社
出版年月 : 2011年1月
税込価格 : 1,260円

西村賢太/著
出版社名 : 新潮社
出版年月 : 2011年1月
税込価格 : 1,260円
今回オススメするのは芥川賞受賞作2作です。
まずは『きことわ』。
生きることは、過去から未来にかけて
数ある可能性のうちのひとつを生きていると言えますが、
生きてきた過去を振り返る時、未来を見つめる時、
そのたったひとつであるはずの生は、実にあやふやなものとなります。
夢の記憶と現実の記憶が混ざり合うこともあるでしょう、
想像力がつくりだす・つくり変える記憶もあるでしょう。
何が本当の記憶なのかわからない時もあれば、
矛盾があっても本当としか思えない記憶もあったり…
『きことわ』は、決して時間を理解できないがゆえに
多様な想像力を働かせてしまう人間のおもしろさ
また想像力そのものの力を感じました。
つづいて『苦役列車』。
これは私小説のようです。
90%位は実話に基づいているそうです。
主人公の貫太は、
読んでいて、本当にこうはなりたくないと思わされる
めちゃくちゃ駄目な人間です。
図らずも貫太自身が招いているとしか言えない「苦役」の数々、
自業自得であるならば
勇気などもらえません。
しかしながらこれが笑えてしまいます。
笑えない酷さなのに。
独特なリズムの文語めいた語り口にどしどし読まされてしまいます。
小心さを伴った破天荒ぶりは
町田康さんの作品のキャラクター通じるものがあります。
今回は芥川賞・直木賞ともにダブル受賞で
いつにも増して話題性がありましたが、
話題性だけではないとても面白い小説でした。
個人的には『きことわ』好きでしたが、
もちろん両方オススメです!
生きることは、過去から未来にかけて
数ある可能性のうちのひとつを生きていると言えますが、
生きてきた過去を振り返る時、未来を見つめる時、
そのたったひとつであるはずの生は、実にあやふやなものとなります。
夢の記憶と現実の記憶が混ざり合うこともあるでしょう、
想像力がつくりだす・つくり変える記憶もあるでしょう。
何が本当の記憶なのかわからない時もあれば、
矛盾があっても本当としか思えない記憶もあったり…
『きことわ』は、決して時間を理解できないがゆえに
多様な想像力を働かせてしまう人間のおもしろさ
また想像力そのものの力を感じました。
つづいて『苦役列車』。
これは私小説のようです。
90%位は実話に基づいているそうです。
主人公の貫太は、
読んでいて、本当にこうはなりたくないと思わされる
めちゃくちゃ駄目な人間です。
図らずも貫太自身が招いているとしか言えない「苦役」の数々、
自業自得であるならば
勇気などもらえません。
しかしながらこれが笑えてしまいます。
笑えない酷さなのに。
独特なリズムの文語めいた語り口にどしどし読まされてしまいます。
小心さを伴った破天荒ぶりは
町田康さんの作品のキャラクター通じるものがあります。
今回は芥川賞・直木賞ともにダブル受賞で
いつにも増して話題性がありましたが、
話題性だけではないとても面白い小説でした。
個人的には『きことわ』好きでしたが、
もちろん両方オススメです!