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こんにちは、「ながしょ」こと店長の長崎です。
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2010年05月05日

凍りのくじら

凍りのくじら講談社文庫 つ28-5
辻村深月/〔著〕


出版社名 講談社
出版年月 2008年11月
ISBNコード 978-4-06-276200-7
(4-06-276200-5)
税込価格 820円
頁数・縦 568P 15cm





『テキオー灯』。
二十二世紀でも、まだ最新の発明なんだ。海底でも、宇宙でも、どんな場所であっても、この光を浴びたら、そこで生きていける。息苦しさを感じることなく、そこを自分の場所として捉え、呼吸ができるよ。君はもう、少し・不在なんかじゃなくなる。

はじめまして、こんにちは。スタッフのCですエヘッ

今回は私が最近よく読んでいる作家・辻村深月さんの作品から「凍りのくじら」を紹介させていただきたいと思います。(辻村作品で最初に読んだ記念すべき一冊です。これでファンになりましたにっこり)。

作品『ドラえもん』でおなじみの藤子・F・不二雄先生を尊敬している主人公の理帆子は、自分の身の回りの人間に「スコシ・ナントカ」と名づける癖があります。
例えば、友人の美也ちゃんは「少し・フリー」、自分の母のことは「少し・不幸」。
そして自分のことは「少し・不在」というように。

彼女は屈託なくどこのグループの輪にも溶け込めて、愛想よく馬鹿のふりをしながらも、場の当事者になることが絶対になく、どこにいてもそこを自分の居場所だと思えず息苦しく感じています。

この物語はそんな彼女が、家族・友人・恋人、あるいは夏の図書館で出会った謎の青年、など、自分を取り巻く多くの人々と関わり合う中で「少し・不在」から脱出するまでの成長を描いた物語です。

・・・などと書くと「ありきたりな少女の成長譚か」などと誤解されそうで(?)怖いのですが、その心配は全くありません。

冒頭にも紹介文を掲載させていただきましたが、ラストで理帆子が「テキオー灯」の光を受けるシーン、そして、最後に訪れるドンデン返しに「えっ、あの人物の正体って・・・あー、そうだったのか!」と驚かされること必至でございます。

あまり書くとネタバレになってしまいますのでこのへんにしておこうと思います。

生きていれば誰しもどこかで息苦しさを感じることがあると思いますが、この本を読んで少しでも「人間っていいな」と感じていただけたら幸いです。

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この記事へのコメント

辻村さん、私も大好きです!
アクロバティックな技巧に、深い情感を兼ね備えた作風、
稀有な才能ではないでしょうか。
芯のある作品群は、私のようなおじさんにも楽しめます。

また「F先生」の漫画にあこがれて育った私たち世代には、
この『凍りのくじら』はまさにツボ。
(確かにドラえもんは・・・ですね。)
スタッフCさんの引用された部分だけで、
感動を思い出して泣きそうですσ(^_^;)

辻村さんの本も文庫化が進みましたね。
多くの方に読んでいただきたいですよね。
Posted by クロスシリンダークロスシリンダー at 2010年05月05日 23:48
>クロスシリンダーさん

コメントどうもありがとうございます。
スタッフCです。

「テキオー灯」のシーンは本当に感動でしたよね。私も引用しながらまた思い出して泣いてしまいそうになりました・・・!

F先生の作品の温かい部分や優しい部分をちゃんと受け継いでいる良作だと思います。

辻村深月さんの作品は、ミステリーとして謎解きの要素を備えつつ、人間関係や心情的な部分だけでも十分楽しめ(とは言ってもやはりその双方を兼ね備えているからこその辻村深月さんですが^^)、クロスシリンダーさんの仰ったように、彼女はまさに「稀有な才能」を持った期待の作家だと思います。

確かに、もっともっと多くの方に読んで頂きたい作家さんの一人ですよね^^!!

ちなみに角川書店から出ている「ふちなしのかがみ」という本に収録されている「八月の天変地異」という短編も非常に感動しました。こちらもオススメです。これまた泣けます・・・。

今回は本当にありがとうございました。
今後もながしょブログを楽しみにしていてくださいね♪
Posted by ながしょながしょ at 2010年05月08日 18:20
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