2010年04月29日
草枕

改版
岩波文庫
夏目漱石/作
出版社名 岩波書店
出版年月 1990年4月
ISBNコード 978-4-00-310104-9
(4-00-310104-9)
税込価格 483円
こんにちは、スタッフのKです。
突然ですが皆様、
長崎書店が一世紀以上の歴史がある書店だという事を御存知ですか?
恥ずかしながらわたくし、入社直前に知りました。
一世紀以上の歴史があるという事は…
かつて熊本に暮した漱石も、きっと長崎書店に来ていたはず!
ここで漱石も立ち読みしていたのかと思うと、ついついニンマリ
しそうになるのを抑えてしっかり働いております。
さてさて、というわけで、今回オススメするのは、
われらが長崎書店でも立ち読みをした(?)夏目漱石の草枕です。
意外とまだ読んだ事のない方も多いのではないでしょうか。
智(ち)に働けば角(かど)が立つ。情(じょう)に棹(さお)させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角(とかく)に人の世は住みにくい。
有名な冒頭部分です。実はネガティブな事が言われているのだけれども、
意味が入ってくる前に、その小気味よいリズムに良い心地にされます。
こんな調子で始まるこの作品、筋らしい筋が無く、
当時の文壇からは「余裕派」として理解されませんでした。
「西洋の本ですか、むずかしい事が書いてあるでしょうね」
「なあに」
「じゃ何が書いてあるんです」
「そうですね。実はわたしにも、よく分らないんです。」
「ホホホホ。それで御勉強なの。」
「勉強じゃありません。只机の上へ、こう開けて、開いた所をいい加減に読んでる
んです。」
主人公とある女性の会話です。私の大好きな場面です。
この後、主人公はこう言います。
「…小説も非人情で読むから、筋なんかどうでもいいんです。…」
「非人情」とは、愛や憎しみや葛藤などの人情を交えず、美しいものはただ美しいととらえ、それ以上でもそれ以下でもないと考える態度の事。飄然とか軽妙洒脱なんて言葉も思い浮かんできます。
作中、漱石お得意の漢語が随所に見られますが、開いた所をいい加減に読んでも漱石はきっと怒らない事でしょう。
まさに立ち読みにもってこいの一冊。
なのですが、立ち読みで終わらせるのは実にもったいない作品ですよ。
もったいないですよ。
オススメです。
ここで漱石も立ち読みしていたのかと思うと、ついついニンマリ
しそうになるのを抑えてしっかり働いております。
さてさて、というわけで、今回オススメするのは、
われらが長崎書店でも立ち読みをした(?)夏目漱石の草枕です。
意外とまだ読んだ事のない方も多いのではないでしょうか。
智(ち)に働けば角(かど)が立つ。情(じょう)に棹(さお)させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角(とかく)に人の世は住みにくい。
有名な冒頭部分です。実はネガティブな事が言われているのだけれども、
意味が入ってくる前に、その小気味よいリズムに良い心地にされます。
こんな調子で始まるこの作品、筋らしい筋が無く、
当時の文壇からは「余裕派」として理解されませんでした。
「西洋の本ですか、むずかしい事が書いてあるでしょうね」
「なあに」
「じゃ何が書いてあるんです」
「そうですね。実はわたしにも、よく分らないんです。」
「ホホホホ。それで御勉強なの。」
「勉強じゃありません。只机の上へ、こう開けて、開いた所をいい加減に読んでる
んです。」
主人公とある女性の会話です。私の大好きな場面です。
この後、主人公はこう言います。
「…小説も非人情で読むから、筋なんかどうでもいいんです。…」
「非人情」とは、愛や憎しみや葛藤などの人情を交えず、美しいものはただ美しいととらえ、それ以上でもそれ以下でもないと考える態度の事。飄然とか軽妙洒脱なんて言葉も思い浮かんできます。
作中、漱石お得意の漢語が随所に見られますが、開いた所をいい加減に読んでも漱石はきっと怒らない事でしょう。
まさに立ち読みにもってこいの一冊。
なのですが、立ち読みで終わらせるのは実にもったいない作品ですよ。
もったいないですよ。
オススメです。