2009年10月22日
四十日と四十夜のメルヘン

青木淳悟/著
出版社名 新潮社
出版年月 2009年9月
ISBNコード 978-4-10-128271-8
(4-10-128271-4)
税込価格 420円
必要なことは、日付を絶対忘れずに記入しておくことだ。
野口悠紀雄『「超」整理法』
野口悠紀雄『「超」整理法』
こんにちは、スタッフのk.kです。
今回ご紹介するのはこちら。
この小説は、冒頭にあげた引用からスタートします。
ここでいきなり
「四十日と四十夜のメルヘン」
というタイトルから私たちが受けていた、キラキラしたすてきなおとぎ話のようなイメージはあっさり吹き飛んでしまって、読者を混乱・動揺させます。
青木淳悟という作家は、策士なのです。
ストーリー的な説明をすれば、ここでは「わたし」という人物(おそらく女性)が主人公です。
「わたし」はアパートのポストに次々と溜まっていくチラシに辟易しています。
しかし、「わたし」自身もチラシ配りの仕事をしていて(もうここで私は頭を抱えましたが)、配りきれなかったチラシを自宅に大量に持ち帰ってしまうことで状況はさらに悪化。
そこで、チラシの有効な活用法として、チラシの裏にメルヘン小説を書こうとします。
その小説の題名は「チラシ」。しかしこれが思うようにすすまない。
「わたし」は、小説が書けないのならせめて日記をつけようと思いますが、7月4日からはじめた日記は7月7日以降どうしても書きすすめることができず、何回もこの4日間の日記を書く行為を繰り返してしまう。
しかも、その記述には矛盾点がいくつも……
と、いうようなお話です。
いえ、お話しかどうかなんて、どうでもいいのでしょう。
小説のなかにたしかにいるはずの「わたし」の生活の記述を、あれ? あれ? と思いながら読んでいく。
そのことこそがおもしろいのです。
全体のストーリーを追いかけるというのは、この小説に関しては無意味でしょう。
ただ、その無意味なことを読みながら考えつづけるということ自体は、すごくスリリングで楽しいものです。
頭のなかはまったくすっきりしませんし、理解しようと考えたからといって、何かの役に立つわけでもありません。
でも、面白いものがすべて役に立つわけではないし、役に立つものばかりが面白いわけじゃないですものね。
現代純文学の最先端(かもしれない)本書、もの好きな方は挑戦してみては?
小説自体は短編ほどの長さです。
「何がおもしろいのかわからない」と思った人は、保坂和志氏による懇切丁寧な解説がついているので、そちらもぜひ!
ここでいきなり
「四十日と四十夜のメルヘン」
というタイトルから私たちが受けていた、キラキラしたすてきなおとぎ話のようなイメージはあっさり吹き飛んでしまって、読者を混乱・動揺させます。
青木淳悟という作家は、策士なのです。
ストーリー的な説明をすれば、ここでは「わたし」という人物(おそらく女性)が主人公です。
「わたし」はアパートのポストに次々と溜まっていくチラシに辟易しています。
しかし、「わたし」自身もチラシ配りの仕事をしていて(もうここで私は頭を抱えましたが)、配りきれなかったチラシを自宅に大量に持ち帰ってしまうことで状況はさらに悪化。
そこで、チラシの有効な活用法として、チラシの裏にメルヘン小説を書こうとします。
その小説の題名は「チラシ」。しかしこれが思うようにすすまない。
「わたし」は、小説が書けないのならせめて日記をつけようと思いますが、7月4日からはじめた日記は7月7日以降どうしても書きすすめることができず、何回もこの4日間の日記を書く行為を繰り返してしまう。
しかも、その記述には矛盾点がいくつも……
と、いうようなお話です。
いえ、お話しかどうかなんて、どうでもいいのでしょう。
小説のなかにたしかにいるはずの「わたし」の生活の記述を、あれ? あれ? と思いながら読んでいく。
そのことこそがおもしろいのです。
全体のストーリーを追いかけるというのは、この小説に関しては無意味でしょう。
ただ、その無意味なことを読みながら考えつづけるということ自体は、すごくスリリングで楽しいものです。
頭のなかはまったくすっきりしませんし、理解しようと考えたからといって、何かの役に立つわけでもありません。
でも、面白いものがすべて役に立つわけではないし、役に立つものばかりが面白いわけじゃないですものね。
現代純文学の最先端(かもしれない)本書、もの好きな方は挑戦してみては?
小説自体は短編ほどの長さです。
「何がおもしろいのかわからない」と思った人は、保坂和志氏による懇切丁寧な解説がついているので、そちらもぜひ!