2009年03月27日
パリのおばあさんの物語

スージー・モルゲンステルヌ/著
セルジュ・ブロック/絵
岸恵子/訳
千倉書房
税込価格1,680円
二十年前にフランスで出版された絵本を、女優の岸恵子さんが翻訳したものです。
老いと孤独を優しく前向きにとらえた、とてもすてきなおばあさんの物語です。
小さなアパルトマンに一人暮らしをしているおばあさん。
夫には先立たれて、子どもは大人になり、今は別の所で暮らしています。
何か行動をおこすたびに、つい若い頃と比べてしまいます。
力が衰えて、一度にたくさんの買い物ができなくなったこと。
コインが見分けにくくなり、お金を払うのも一苦労なこと。
縫い物も、刺繍も、もう指がいうことをきかなくなって…。
こんなことも、おばあさんは考え方を変えて、前向きにとらえます。
思い出すのは日常のことから、次第に自分の過去のことへ移っていきます。
家族を離れ離れにした戦争のこと。
ユダヤ人捕虜収容所に収容された夫のこと。
子どもたちを修道院に預けた日のこと。
戦後家族は戻ってきましたが、おばあさんは戦争によって、癒えない傷を受けたことを知りました。
しかしおばあさんは、辛いことを辛いままにはしておきませんでした。楽しい日はまた戻ってくると信じて、辛い時を必死に耐えました。
今のおばあさんは、自分のしわだらけの顔が好きです。
顔はたくさんの歴史を物語っているのですもの。
眼のまわりには楽しく笑い興じたしわ。口のまわりには歯をくいしばって悲しみに耐えた無数のしわ。
しわ、しわ、しわ、いとおしいしわ。
四分の三世紀ものあいだに味わったわたしの人生の苦楽が刻まれた顔。
「おばあさん。もういちど、若くなってみたいと思いませんか?」という問いかけに、おばあさんは毅然として答えます。
「いいえ」と。
最後のページで語られる、おばあさんの「老い」や「人生」にたいする気持ち。
凛としていていてかっこいいです。
夫には先立たれて、子どもは大人になり、今は別の所で暮らしています。
何か行動をおこすたびに、つい若い頃と比べてしまいます。
力が衰えて、一度にたくさんの買い物ができなくなったこと。
コインが見分けにくくなり、お金を払うのも一苦労なこと。
縫い物も、刺繍も、もう指がいうことをきかなくなって…。
こんなことも、おばあさんは考え方を変えて、前向きにとらえます。
思い出すのは日常のことから、次第に自分の過去のことへ移っていきます。
家族を離れ離れにした戦争のこと。
ユダヤ人捕虜収容所に収容された夫のこと。
子どもたちを修道院に預けた日のこと。
戦後家族は戻ってきましたが、おばあさんは戦争によって、癒えない傷を受けたことを知りました。
しかしおばあさんは、辛いことを辛いままにはしておきませんでした。楽しい日はまた戻ってくると信じて、辛い時を必死に耐えました。
今のおばあさんは、自分のしわだらけの顔が好きです。
顔はたくさんの歴史を物語っているのですもの。
眼のまわりには楽しく笑い興じたしわ。口のまわりには歯をくいしばって悲しみに耐えた無数のしわ。
しわ、しわ、しわ、いとおしいしわ。
四分の三世紀ものあいだに味わったわたしの人生の苦楽が刻まれた顔。
「おばあさん。もういちど、若くなってみたいと思いませんか?」という問いかけに、おばあさんは毅然として答えます。
「いいえ」と。
最後のページで語られる、おばあさんの「老い」や「人生」にたいする気持ち。
凛としていていてかっこいいです。