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こんにちは、「ながしょ」こと店長の長崎です。
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2009年03月02日

二十億光年の孤独

十八才

ある夜
僕は まったく ひとりだった

想ひ出をわすれ
本棚と 雲に飽き
おさない いかりと かなしみと
僕は にがく 味はった

雨のふる夜
僕は ほんとに ひとりだった



二十億光年の孤独二十億光年の孤独
著者 谷川俊太郎
出版社 集英社
出版年月 2008年2月
ISBN 978-4-08-746268-5
税込価格 500円
分類 文庫/日本文学





こんにちは。
スタッフのNです。

この詩集に収録されているのは、谷川俊太郎氏が18歳のときに書いた詩の数々です。

解説を読みびっくりしたのは、谷川氏が、集団の中で学ぶのに懲りてモラトリアムを放棄した、自立したいと強く願う、孤独で人づきあいの悪い、親のスネをかじるしかない少年だったということです。
私と重なる部分があって、だからこの詩集が谷川氏の作品の中では一番好きかもしれません。

人は誰しも孤独であり、かなしみは世界に空気のように溶け込んでいます。
そのことに多くの人がはじめて気づくのは、10代の頃でしょう。
子供でも大人でもない宙ぶらりんの不思議で未熟な年頃は、宇宙に近い存在なのかもしれません。
はじめて感じる絶対的な孤独に為すすべもなく、おさないいかりとかなしみとを他人に自分自身にぶつけ、ぶつけてもどうにもならず、行き場を失い、宙を漂うだけ。
空しさだけが残り、それすらも苦々しく貪欲に味わうのです。

何かものすごい力に満ち溢れた、その貪欲な時期は、人生においてなくてはならない重要な時期なのでしょう。

18歳の頃、この詩集に出会いたかった、とものすごく感じました。


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この記事へのコメント

私もNさんの解説を読んで重なる部分があるので、この作品が好きになると思います。
18歳、苦い思い出もたくさんな時期でした^_^;。
それを大人になった今、この詩集を読んでじっくり懐かしみたいと思います(^v^)。
Posted by てっぱんてっぱん at 2009年03月03日 08:57
>てっぱんさん

いつもありがとうございます。

重なる部分がおありでしたか!!でしたら、ものすごく好きになれると思います。ぜひ、一度お試しくださいね。

18歳、私にとってはつらく苦しい、まさに黒歴史のような時間でした。
私も、いつかこの詩集を読み返して、18歳を懐かしむことが出来たらいいなぁなんて思います^^
Posted by ながしょ at 2009年03月03日 19:49
孤独になるためにはまわりに人がいなくてはなりません。無人島で生まれてから一人でずっと生きていたら、孤独を感じることもできません。だから「ひとりじゃない」って感じることができるのも、まわりに人がいるとき。このふたつは正反対のようで、補い合ってる不思議な関係ですね。いつも素敵な本の紹介をありがとうございます。
Posted by 眠兎 at 2009年03月07日 04:37
>眠兎さん

いつもありがとうございます。

谷川俊太郎さんの別の本に、「さびしいと感じる時、ぼくは孤独ではありません。ぼくはその時他の存在を予感し、さびしいと感じることでかえってそれらとむすばれているのです。」という印象的な言葉があります。
これは孤独にも共通していると思います。
他人の存在があるから孤独を感じたり、ひとりではないと思ったり、全て他人がいるからこその感情なのですね。
ひとりでは知ることのない感情を教えてくれる他人に感謝です。
Posted by ながしょ at 2009年03月08日 19:25
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