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こんにちは、「ながしょ」こと店長の長崎です。
熊本の本屋、熊本の書店として皆様に支えられて120周年を迎え、温故知新、人と本の幸せな出会いを演出していきます。
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2008年11月04日

最後の家族

引きこもりはどうして引きこもるのか。
それは、それがその人にとって必要なことだからだ。

最後の家族
最後の家族
著者 村上龍
出版社 幻冬舎
ISBN 978-4-344-40957-6
税込価格 600円




引きこもりを続け家族に暴力を振るう二十一歳の内山秀樹とその家族。
過酷な現実にさらされ崩壊へと向かう内山家。
一人ひとりはどうやって生き延びていくのか?
家族について書かれた残酷で幸福な最後の物語。
(裏表紙より一部引用)

これは高校三年生の夏休みに初めて読んだのですが、それから数年たった今もたまに読み返します。
何度も何度も読み返す本の中の一冊です。
当時ドラマ化もされたらしいのですが、テレビを当時あまり見なかったので、残念ながら全く知りませんでした。
村上龍さんの徹底した取材と巧妙な構成力には圧巻です。
丁寧で誠意のあるものをお書きになる印象があります。


「親しい人の自立は、その近くにいる人を救うんです。一人で生きていけるようになること。それだけが、誰か親しい人を結果的に救うんです」
(最後の家族 P303より引用)
上の言葉は、後半に登場する女性弁護士・田崎の言葉で、最も印象に残っている部分です。読んでしばらくして、その言葉を身を持って実感し、今も実感し続けています。私はこの言葉を信じて今も生きているような気がします。


そして、この本の中で重要であると感じた部分が以下の一文です。
兄が引きこもっているのは、それが兄にとって必要だからだ
(最後の家族 P31より引用)
引きこもりという言葉がこれだけ社会に浸透しているのに、その現状や真実は正確には浸透せず、心無いイメージばかりが蔓延しているように思います。
うつ病などの精神の病に関しても同様のことが言えるでしょう。
もちろん当事者でなければわからないことが多く、頭ごなしに「理解しろ」とは言えませんし、無理に理解させたところで、真の理解などありえません。
しかし、引きこもりも精神の病もそれがその人にとって必要だから、ということだけは念頭に入れておいて欲しいのです。
心無いイメージで、高みの見物で批判するのはあまりにも稚拙で簡単すぎます。

解説にもありますが、この本は当事者を苦しめる「世間」や「正論」を少しずつ変質させていくきっかけなのでしょう。
そうでなければ、この本が世に出て、ドラマ化までされた意味がないように思います。

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この記事へのコメント

はじめまして、こんにちは
いつも上通りを通るとき、お邪魔しておりますです(ペコリ)

いや~~本好きなんで、このご紹介たまりません!!

楽しみにしておりますので、更新きたいしております
Posted by ムーミンムーミン at 2008年11月05日 11:27
「兄が引きこもっているのは、それが兄にとって必要だからだ」
この言葉はとても深いですね。
「閉じこもる」ということは、「開け放つ」という行為の一部なのだと私は思います。
その苦しみの時間は決して無駄にはならず、その人の人生の力になっていくでしょうね。
Posted by 眠兎 at 2008年11月05日 15:38
>ムーミンさん

はじめまして。
コメントありがとうございます。
当店をご利用いただいていらっしゃるとのことで、ありがとうございます。
これからも、日々数々の本を紹介してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
Posted by ながしょ at 2008年11月05日 16:31
>眠兎さん

いつもコメントありがとうございます。
この言葉は、文章の一部にさらりとなんでもないかのように出てくるのですが、深いですよね。
閉じこもるという行為で、自分の気持ちを外側に伝えようとしているように思えます。
だから、眠兎さんが仰ったように「開け放つ」行為の一部なのでしょう。
苦しい思いを乗り越えた後は、きっと人間的に成長した自分にめぐり合えることでしょうね。
Posted by ながしょ at 2008年11月05日 16:51
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