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2008年11月04日

イリュージョン 悩める救世主の不思議な体験

イリュージョン
リチャード・バック/著 佐宗鈴夫/訳

出版社名 集英社
出版年月 2006年4月
ISBNコード 978-4-08-773444-7
(4-08-773444-7)
税込価格 1,680円
頁数・縦サイズ 182P 20cm
分類 文芸 /海外文学 /アメリカ文学




「この世界と言ったらいいか?この世のすべてと言ったらいいか?
イリュージョンなんだよ、リチャード!
なにもかもがイリュージョンなのさ!
わかるかい?」


この世の中は、すべて光と影とで組織された幻影さ!オンボロ複葉機に乗った救世主が米中西部の空と草原にくり広げる奇跡と冒険。世界の若者たちに真の自由の意味を問いかける現代の英雄伝説。

この物語には、不思議なことがたくさん出てきます。雲を信念の力で消したり、壁をすり抜けたり、水の上を歩いたりです。
そしてたくさんの重要な言葉が出てきます。最初は何のことかよくわからないけれど、読み終わってしばらくすると、突然わかる瞬間が訪れます。そしてそのわかる瞬間が本当にうれしいのです。
本当にわかるとは、新しく何かを得ることではなくて、忘れていたことを思い出すということだと私は思います。
その言葉のいくつかをご紹介します。

「もっとも単純な疑問が
もっとも深遠な疑問である。
人はどこで生まれたのか?故郷はどこか?
どこへ行こうとしているのか?
なにをしているのか?
たまには、そうしたことを考えるがいい。
答えはひとつでないことがわかる。
いちばんうまく教えられるのは、
自分がいちばん知りたいと思っていることである。」

「自分の限界について
議論するがいい。
きっと
それがあなたの限界である。」

「無知のしるしは
不正や悲劇を心の底から信じこんでいることだ。
毛虫が世の終わりと考えるものを、
救世主は蝶と名づける」

最後の言葉が私はすごく好きです。「毛虫が世の終わりと考えるものを、救世主は蝶と名づける」
あなたが苦しみだと思っているもの、それは本当に苦しみでしょうか?あなたは蝶になろうとしてるのかもしれない。

あなたが自由という翼を羽ばたかせるとき、たくさんの反発にあうかもしれない。その人たちは「正しさ」の剣を振りかざして、あなたを刺そうとするかもしれない。だけどあなたがあなたの心に正しく向き合うとき、その翼は決して、びくともしない。

正しさとは、本当の正しさとは、自分の心の中にしかないのだから。誰かの正しさがあなたの正しさではない。あなたの正しさだけが、あなたの正しさである。

「子ども向けのファンタジーは、空想を存分に羽ばたかせながらも、作者の視点が世俗的な善悪の基準からはみだすことがないケースがほとんどです。しかし、この作品は、そうした社会通念のようなものから思いきり自由であろうとする作者の生き方そのものがファンタジーになっているのです。」訳者あとがきより

自由とは、自由の概念を飛び越えるものである。だから一見それは不自由にも見えるだろう。

そこに真実がある。自由とは、好き勝手にやることではなく、自分の人生に責任を持つということだから。


世界のすべてがイリュージョンだとしたら、あなたの真実はどこにある?



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この記事へのコメント

毛虫のくだりは、心からわくわくするような、ものの見方が、世界が開けるような言葉ですね。きっと物語全体にこのようなわくわくの仕掛けが詰まっているのでしょう。ものすごく読んでみたいです。
人生の中で正しさを武器に道を閉ざされそうになっても、自分の中に正しさを強く持っていれば、自分は自分だと堂々と生きてゆけますね。
自由になるということは不自由になることだと昔ある方に教えられました。居心地のいい檻の中でぬくぬくと安心しきって生きるより、私はたとえ不自由でも檻から出て自由に生きたいです。
Posted by COW at 2008年11月04日 17:14
>COWさん
ありがとうございます。
毛虫の言葉は本当に、心からわくわくするような、世界が開ける言葉ですね。
毛虫は自分の身体が糸に包まれて溶けてしまうとき、世界の終わりを感じるのでしょう。だけど蝶になって空に羽ばたくとき、それは世界の終わりではなく、始まりだったと知るのです。
世間でいう正しさとは、世間体や常識など、曖昧な基準で判断されたものに過ぎません。地球は丸いと信じたガリレオは、周りの正しさではなくて、自分の正しさを信じたからこそ、真実にたどり着けたのです。
真に自由であるということは、「自由とは何か?」という定義からさえも自由になるということ。「自由とはこうじゃなくちゃいけない」と決めた途端、それは自由ではなくなるからです。
居心地のいい檻の中にいたら、確かに楽に暮らしていけるでしょう。でもそのかわりせっかく飛べる翼を持っているのに、その翼は痩せおとろえて、飛び方さえもいつか忘れてしまうでしょう。
世界がすべてイリュージョンだとしたら、真実はいつも自分の心(自由の翼)の中にしかないのだから。
Posted by ながしょ at 2008年11月04日 22:06
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