2017年05月02日
今こそ宮崎滔天

本書では典型的な大陸浪人として、夢想的なアジア主義者として、さらには情の人あるいは侠の人としてロマンティックに語られ、そして時には軽んじられてきた宮崎滔天について、その思想性に光を当てることで別の風貌を浮かび上がらせてみたいと思う。滔天は独自の深い思索によって日本と中国、世界の行方を見つめ続けた人物であり、その射程の長さには驚くべきものがある。(序章より)現在の熊本県荒尾市に生まれ、徳富蘇峰のもとでも学んだ革命運動家、宮崎滔天(みやざき・とうてん)の評伝が発売されました。戦争や貧困のない、すべての人が自己実現を図ることが出来る世界をつくることを、最後まで、本気で目指して動き続けた宮崎滔天。単に理想を掲げるだけでなく、多くの迷いや挫折を経験しながら、実践の厳しい道を歩み通したこの人物について、『九月、東京の路上で』で反響を呼んだ著者の加藤直樹さんが新たに見つめ直しました。背中を押してくれる本です。
謀叛の児 宮崎滔天の「世界革命」/加藤直樹/河出書房新社/3024円(税込)