
こんにちは、スタッフの児玉です。最近入荷した新刊をいくつかご紹介いたします。1冊目は、片野ゆかさんの『ゼロ! こぎゃんかわいか動物がなぜ死なねばならんと?』です。動物愛護管理法の改正など、動物愛護の環境が整えられ始めている今でさえ、年間約20万頭もの犬猫が殺処分されています。その大きな原因は「犬が年老いた、病気になった、転居するから…」などのような、あまりにも身勝手な引き取り依頼をする人々が後を絶たないことにもあるようです。そうして引き取られた動物を生かすことに消極的な自治体もまだまだある一方で、熊本市は殺処分ほぼゼロを実現し、注目を集めています。熊本市動物愛護センターの職員さんたちの、強い意志と実行力がなければ成し得なかった殺処分ほぼゼロ。「そんなの夢物語だ!」といった揶揄もあったそうですが、それでもがんばり続けた「今、この国でいちばんカッコイイ行政マン」の歩みを描いたノンフィクション作品です。同じ著者による「北里獣医学部 犬部!」も文庫化されたばかりで合わせておすすめです。
ゼロ! こぎゃんかわいか動物がなぜ死なねばならんと?/片野ゆか/集英社/1470円

2冊目は、こちらは5月刊の本ですが、ようやく当店にも入荷しました。『仏教美学の提唱 柳宗悦セレクション』です。日本民藝館の創設者にして、1926年に起きた民芸運動(日常的な暮らしの中で使われてきた手仕事の日用品の中に「用の美」を見出し、活用する日本独自の運動。現在でも活動が続けられています)の中心人物である柳宗悦は思想家、美学者、宗教哲学者で、著作も沢山あります。文庫もたくさんありますが、特に岩波文庫で出ていたものは現在品切れの本も多いです。本書は、そんな柳宗悦が、民芸思想の最終到達点として提唱した 「仏教美学」 に関するテキストの集成で、高額ですが価値ある1冊です。
仏教美学の提唱 柳宗悦コレクション/柳宗悦/書肆心水/5460円

こちらは、上の本の関連本でもある新刊なのですが、日本民藝館設立にあたり柳宗悦に協力したイギリス人陶芸家バーナード・リーチの作品集です。柳宗悦は、リーチの作品には「近代藝術によく見られるような強烈なものとか、異常なものとかいう性質はないから、或人達の目からは、却って平凡なものに見られているかもしれ」ないと、リーチの人柄をも感じさせる優美さを湛えた作品群への賛辞を惜しんでいません。一度気づいてしまったら虜になるような、今なおユニークさを感じさせる作品の数々の、現代まで続く影響は大変に大きなもののようです。今年がリーチの作陶100年、生誕125年であることを記念して出版されました。
日本民藝館所蔵 バーナード・リーチ作品集/日本民藝館学芸部 編集/筑摩書房/2940円

この本は、当店でも最初に入荷した3冊があっという間に売り切れてしまい、数日前に再入荷したばかりの新刊です。タイトルは『プラハ冗談党レポート─法の枠内における穏健なる進歩の党の政治的・社会的歴史─』、著者はチェコのヤロスラフ・ハシェク、反戦ユーモア小説『兵士シュヴェイクの冒険』の著者としても有名な作家です。本書はあのカフカが大笑いしたという伝説まで残っている小説なのですが、ハシェクとカフカは同じプラハ生まれの同い年、交流もあったようで、伝説と言っても結構真実味があります。チェコ文学者の栗栖継さんが、なんと8年もの歳月を費やして翻訳された本書、間違いなくおもしろいです。
プラハ冗談党レポート─法の枠内における穏健なる進歩の党の政治的・社会的歴史─/ヤロスラフ・ハシェク 著/栗栖継 訳/トランスビュー/2100円

新潮文庫7月の新刊も入荷しています。特に注目は、小野不由美さんの十二国記シリーズの新装完全版です。絵師・山田章博氏による新たな装画+挿絵各5点が全巻に描き下ろされるのに加え、新潮文庫初となる背表紙に施された仕掛けデザイン(全巻揃えると飾り絵が完成します)からは、力の入れようが感じられます。刊行第1弾は2タイトル『魔性の子』と『月の影 影の海(上下巻)』です。今後描き下ろし含む全10タイトルが刊行される予定です。7月には単行本ホラー2作品、新潮社から『残穢(ざんえ)』、メディアファクトリーから『鬼談百景』が同日発売予定で、今最も注目度が上昇中の作家の1人です。7月の新潮文庫は宮部みゆきさんの『英雄の書』、青山七恵さんの『かけら』、重松清さんの『ロング・ロング・アゴー』などから、柴田元幸さんによる『トム・ソーヤの冒険』の新訳まであり、今回は特にビッグ・ネーム、ビッグ・タイトル揃いです。
店頭にて販売中です。
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