こんにちは。スタッフの石川です。
今日は服部みれいさんの最新詩集をご紹介いたします。
タイトルは「だからもう はい、すきですという」です。
たくさんの本を出されていますが、詩人というイメージはなかったので私は読んでみてとても新鮮でした。
最近はパソコンで文章を書く人が多いので、文章が際限なく長くなってきているように感じます。
でも詩に関しては、言葉をぎりぎりまで短くして、削って、簡潔にして、という作業の果てに言葉が完成するので、なんだか言葉自身が潔くて、ありのままの、そのままの姿なんだと感じます。
そういう意味で、私は詩がすきです。
詩のもつ簡潔でいさぎよいエネルギーがすきです。
この詩集の中から私がすきな詩をふたつご紹介したいと思います。
正しいを消去しつづける(毎秒ごとに)
自分が正しいなんて思ったら
正しくない証拠
ほんものの正しいは、
自分のことを正しいなんて
思わない
自分が正しいなんて思ったら
それは
正しくなんかない証
アナタ、はずかしいほど、正しくないよ
宇宙は広く、解はない
血は永遠にめぐり、記憶はさめざめと繰り返される
あほじゃないかしら
正しいなんて、自分が思ったら
その
瞬間から消去する
毎秒ごとに決していく
正しいなんてうそっぱち
正しいなんてただのまやかし
正しいなんて夢のひとつ
この詩だって
読んだはじから
毎秒ごとに
消していく
正しいという言葉ほど難しいものはないと思います。
すべての争いごとは、自分こそが正しいと思ってる人たちの間で引き起こされると思います。
「正しいこと」を作り出した瞬間に「間違ったこと」が生まれます。
どちらか一方だけでは存在できません。
そこに正しいの難しさがあると思います。
「あの人は間違っている」と思った瞬間に「私は正しい」が生まれるので、そう思った自分に気づいたら、私はそこから「間」を取るようにしています。
そうしたら「あの人は違っている」となり、なんだ、違っているだけなんだなと思い直すことができます。
この世には違う考え方をする人たちがたくさんいる、それだけのことなんだなと自分を納得させます。
そうしたら、その「違い」を楽しむことができるような気がします。
正しくなくても大丈夫。
楽しめればそれで結構。
それに気づかせてくれる素敵な詩だと思います。
許されないよりは 許されるほうが
許されないよりは 許されるほうが
愛されないよりは 愛されるほうが
すきでしょ?
抱かれないよりは 抱かれたほうが
いいえといわれるよりは はいといわれるほうが
すきでしょ?
だから
もう 許しませんか
だから
もう 愛しませんか
だから
もう 抱きしめて
だから
もう はい、すきですという
タイトルにもなっている、「もう はい、すきですという」この言葉には受け入れる強さが感じられて好きです。
誰だって苦しいよりは楽しい方がいいに決まっています。
でも私たちの心の癖で「でも…」「だって…」とそれに続く言葉が出てきてしまいます。
そういうときにぴしゃりとこの言葉が効きます。
うだうだ考えるよりこう言えばいいじゃん。
だからもう はい、すきですという!
ただもうそれだけなんだと思います。
すきなものはすき!って言えるようになると、世界はどんどん明るくなっていくと思います。
認める、受け入れる、許す。
この詩にはこの3つのことが込められていて、優しくて潔くてすきです。
詩は考えるものじゃなく、感じるものです。
あとで意味を考えるのは自由ですが、この場で、いまここでは、まず感じてみてください。
服部みれいさん詩集「だからもう はい、すきですという」はマーマーマガジンコーナーと精神世界コーナーにございます。
どうぞよろしくお願いいたします。