シエマへ。
私がシエマを知ったのは約2年前。
書店経営において私が(勝手に)師匠と仰ぐ、ブックスキューブリックの
大井社長から、
「佐賀に面白い映画館があるから、一度行ってみたら」
と教えていただきました。
聞くところによると、佐賀松原の廃館となった映画館を一人の若者が
支配人を引き受けることによって、復館させたのだとか。
個人的にも月に5~6本は映画館で映画を見る私は、
その映画館と若き支配人の方に興味を持ちました。
いつかいつかと思ううち、だいぶ時間がたっていましたが、
「よし、行こう!」と決心し、シエマの代表である芳賀英行さんに電話。
突然の電話にも関わらず、快くアポイントをとらせていただいたのです。
8日に福岡出張、博多で一泊し、9日朝佐賀へ。
約束の時間は15時なのですが、
「せっかく映画館行くんだから、約束の時間前に1本観よう♪」
と目論んだ私は熊本にはまだ来ていない「カティンの森」を観ることに笑
映画を堪能し、以前劇場だったとカフェスペースで
「シシリアンライス」の
ランチに舌鼓を打ち、その居心地の良さを存分に楽しんで・・・
シエマの代表、芳賀さんが忙しい時間を割いて、応対してくださいました。
とっても穏やかな人柄で、私を温かく歓迎してくださった芳賀さんは、
シエマという映画館へのあふれんばかりの思いをお話ししてくださいました。
シエマでは、いわゆるミニシアター系・単館系と呼ばれる作品がセンス良く
選ばれ、2つのスクリーンで年間約100本上映されています。
それだけでも十分映画ファンにとっては嬉しいことなのですが、
シエマの面白いところは、
「映画を見に来なくても楽しめる映画館」
だということ。
HPを見てもらえれば一目瞭然なのですが・・・
劇場だったスペースを1室改造してつくられたカフェ。
そしてカフェに併設された多目的スペースでは、
「シエマスクール」という名の楽しい教室や、絵本の読み聞かせ、
ミニライブなど、さまざまなイベントが催されます。
また、本棚には絵本や漫画、映画雑誌が豊富に並び、お茶を飲みながら
アットホームな図書館で本を読むようなこともできる。
チェコの雑貨も販売してあったり、その空間にいるだけで楽しい気分になれます。
そして一番衝撃的だったのは・・・ターンテーブルがあること!
芳賀さん、これは一体!?
と尋ねると、嬉しそうに自慢のレコードコレクションを披露していただき、
(そのほとんどが昭和歌謡のLP)次々とレコードを変えながら
楽しそうに昭和歌謡の魅力をアツく語られたのでした。
ふつう、映画館は映画を観るところですが、シエマは映画を観なくても、
また映画や映画館に普段興味が少ない人でも、気軽に立ち寄れ、楽しめる。
お話を聞いていてとても印象的だったのが、
「いろんな世代の人々が集まる公民館みたいな場所にしたかった」
という芳賀さんの言葉。
その言葉通り、シエマではいろんなイベントやカフェスペースを通じて、
人々が集い、親睦を深めることができて、新しい出会いも生まれそうです。
もともと映画や映画館と距離があった人も、シエマの映画以外の魅力がきっかけで
足を運ぶうち、上映されている作品にも興味がわいてきて、映画の魅力、
映画館の魅力を発見する・・・なんてストーリーもたくさんあることでしょう。
お話があまりに楽しく、気がつけば4時間近くも話していました笑
芳賀さんは映画館、私は書店、それぞれ軸としている商いは違うけれど、
付加価値の高い「場づくり」を通して、人々や地域と豊かなつながりを持ち、
新たな価値の創造し、またそれを循環させていきたい。
その思いはぴたりと共通していて、コンセプトや考えのコアとなる部分に
関する話では、おこがましくも自分と話しているような錯覚を覚えるほど、
芳賀さんと私は根底でつながっているような気がして、
嬉しさと少しの興奮がこみ上げてきました。
今後は企画の共催も含めて、シエマと長崎書店のコラボも生まれそうです!
芳賀さんとシエマには、熊本に帰る私にたくさんの「ワクワク」という、
何よりのお土産を貰った気がします。
お忙しい中時間をつくってくださった芳賀さん、シエマのみなさん、
本当にありがとうございました!
また遠くない将来、佐賀へ行くことになりそうです。
関連記事