気になる新刊
こんにちは、スタッフの児玉です。気になる新刊を紹介します。
小熊英二さんの本の特徴は、読みやすさにあると思います。戦後史を扱った『と』や『1968』など、決して易しくないテーマに加え1000頁前後もある大部の著作ですら広く読まれているのも、おそらく読みやすさ、理解のしやすさがひとつの理由になっている思います。このたび出版された『社会を変えるには』も、新書としてはかなり厚い500頁を超える本ですが、社会運動の歴史と意味について書かれており、そしてやはり読みやすい本です。本書の「はじめに」の冒頭の文章です。
<社会を変えたい、と思う人は多いでしょう。しかし、実際には変えられるとは思えない。そもそもどうしたら「社会を変える」ことになるのかわからない。選挙で投票しても、自分が政治家に当選しても、それで変えられるのだろうか。そう感じている人は多いのではないでしょうか。>
戦後、社会はどのように変わってきたのか、そしてこれから社会を変えるということがどういうことなのか、どうすればいいのか、たとえ今抱いている疑問が漠然としていても、それを整理し、これからどう動けばよいのか考えるための手助けとなってくれる1冊です。
社会を変えるには/小熊英二/講談社現代新書/1365円
熊本の第五高等学校(旧制)に在籍していたこともある昭和の文豪、上林曉(かんばやし・あかつき)の随筆集が出版されました。上林曉は、芥川龍之介の作品に触れて文学に目覚め、以来生涯を通して古本と文学を愛した人だったそうです。29編の随筆が収録されています。本書は「何度も、読み返される本を」というあまりにもまっとうな出版精神をもって本づくりにのぞみ続けている出版社、夏葉社からの6冊目の本です。お笑いの又吉さんとの関わりで夏葉社をご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、いつも本当に良い本をつくられています。過去の5作品も店頭にて販売しておりますので、ぜひ一度手にとって読んでみてください。【
夏葉社HP】
故郷の本箱 上林曉傑作随筆集/上林曉 著・山本善行 撰・装丁 櫻井 久/夏葉社/2310円
本日はここまで。
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