西の魔女が死んだ

ながしょ

2012年01月21日 11:10

新潮文庫

梨木香歩/著 出版社名 : 新潮社
出版年月 : 2001年8月
ISBNコード : 978-4-10-125332-9
(4-10-125332-3)
税込価格 : 420円
頁数・縦 : 226P 16cm






「わたしはもう学校へ行かない。あそこは私に苦痛を与える場でしかないの」

中学に進んでまもなく、どうしても学校へ足が向かなくなった少女まいは、季節が初夏へと移り変るひと月あまりを、西の魔女のもとで過した。
こんにちは。スタッフの石川です。

今日、ご紹介するのは、「西の魔女が死んだ」という本です。

映画化もされて有名な本ですが、遅ればせながら初めて読ませていただきました。

中学生のまいはおばちゃん(西の魔女)のもとでしばらく生活することになります。

そのあいだにまいはおばあちゃんから魔女の手ほどきを受けることになります。

魔女の手ほどきといっても、魔術とか煙がもくもく出ている薬の配合とかじゃありません。

自然とともに生きること。自分の心の声に耳をすますこと。

当たり前のようなことでもありますが、とても大切で難しいこと。

まいはおばあちゃんからいろいろなことを教わっていきます。

おばあちゃんの話し方は独特でなぜか敬語です。
最初は孫に対する話し方に違和感を感じますが、最後の方になってくると、この話し方だからいいのだ、と思えてきます。

まいから死について聞かれたおばあちゃんはこんなふうに答えます。


「おばあちゃんは、人には魂っていうものがあると思っています。
人は身体と魂が合わさってできています。
魂がどこからやって来たのか、おばあちゃんにもよく分かりません。
いろいろな説がありますけれど。

ただ、身体は生まれてから死ぬまでのお付き合いですけれど、魂のほうはもっと長い旅を続けなければなりません。
赤ちゃんとして生まれた新品の身体に宿る、ずっと以前から魂はあり、歳をとって使い古した身体から離れた後も、まだ魂は旅を続けなければなりません。

死ぬ、ということはずっと身体に縛られていた魂が、身体から離れて自由になることだと、おばあちゃんは思っています。
きっとどんなにか楽になれてうれしいんじゃないかしら」

(本文より)


こういった言葉のひとつひとつに、おばあちゃんのまいに対する誠意と愛情を感じることができます。

はっきりわからないこともあるけれど、私はこう思うのよ、という話し方はとても優しくて素敵だなぁと感じました。


おばあちゃんとまいのやりとりの中で私が大好きなものがあります。

それは、まいが「おばあちゃん大好き」というと、おばあちゃんは決まって「アイ・ノウ」というところです。

このやりとりって英語独特のやりとりですよね。
日本語だとそれをあらわすちゃんとした言葉がないような気がします。

日本語の「私もよ」とか「知ってるわ」というのとも違うニュアンスの「アイ・ノウ」
魔女だからこその愛のこもった言葉だと思いました。

神さまにもし、愛していますって伝えたら、神さまも同じように言うんじゃないかなぁと思います。


「アイ・ノウ」


映画もいつか観てみたいです。



今日も幸せな一日になりますように。



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