はてしない物語
ミヒャエル・エンデ/作 上田真而子/訳 佐藤真理子/訳 出版社名 : 岩波書店
出版年月 : 1982年6月
ISBNコード : 978-4-00-110981-8
(4-00-110981-6)
税込価格 : 3,003円
頁数・縦 : 589P 23cm
汝の 欲する ことを なせ
こんにちは。スタッフのIです。
今日、ご紹介するのは、「はてしない物語」です。
遅ればせながら、この有名なお話を私は生まれて初めて読みました。
とても深くておもしろいお話でした。
主人公セバチアンは物語の中へ入っていき、物語の中で生きはじめます。
そうして、物語の中で、望みをかなえるために、力を使うたびに、本当の自分を忘れていってしまうのです。
このお話は、私たちそのもののお話なんだと思いました。
私たちも、自分自身の物語を語り始め、いつのまにか、自分が物語の一部となり、物語そのものになっていきます。
そして、その中で、願いをかなえるために本当の自分自身というのを忘れていくのです。
本当の自分を思い出すために、バスチアンは、すべての自分を最後に忘れます。
逆説的ですが、思い出すということと、忘れるということは、対になっていて、どちらも同じものを呼び覚ます「力」となるものです。
少しだけ覚えていながら、全部を思い出すことはできません。
全部を思い出すために、全部を忘れて、次の扉へゆく。
私たちは物語の中の自分自身を全部忘れることなしに、本当の自分自身に結びつくことはできません。
なぜなら、本当の自分とは、物語の中ではなくて、その物語を紡ぎ出す向こうにいる存在だから。
大きな物語の中にちっぽけな自分がいるのではくて、大きな自分の中に小さな物語があることに、バスチアンは最後に気づくことができます。
「世の中には喜びの形は何千何万とあるけれども、それはみな、結局のところたった一つ、愛することができるという喜びなのだ」
そうです、物語とは、喜びとは、愛の形のあらわれにほかなりません。
私たちの中の愛が命を結ぶとき、それは物語となり生命を与えられるのです。
すべての人の、すべての物語は、いつも、はてしない物語です。
期限も規制も何ひとつありません。
本当の自分に通じるための、はてしない物語。
この旅をいつまでもいつまでも続けていたいと思いました。
今日も幸せな一日になりますように。
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