幸福論

ながしょ

2011年01月15日 11:10

〔ランダムハウス講談社文庫〕 す1-1
須藤元気/著


出版社名 武田ランダムハウスジャパン
出版年月 2007年10月
ISBNコード 978-4-270-10131-5
(4-270-10131-8)
税込価格 798円
頁数・縦 198P 15cm

(写真は単行本版です)




幸福だから楽しいのではなく、
楽しんでいるから幸福なのだ。


こんにちは。スタッフのIです。

今日、ご紹介するのは、須藤元気さんの「幸福論」という本です。

須藤元気さんが、愛読書である司馬遼太郎の「空海の風景」をもとに、徒歩と自転車で四国を回り、その先々で感じたこと、自分自身のことをありのままに執筆した四国お遍路を巡った旅行記です。

トリッキーなユーモアあふれる語り口で、とても引き込まれて読みやすかったです。
一緒に四国を旅しているような気分になりました。



この三次元の世の中というのは相対性の世界だから、自分がいなければ他人もいない。
逆に、他人がいなければ自分も存在できない。
日本がなければ世界もないし、世界があるから日本もある。
同じようにいい人がいるから悪い人もいる。
「WE ARE ALL ONE」というのは、受け入れてあげること。
みんなひとつなんだということに気づけば、他者というのは存在しないことに気づく。
そうすれば自分に対して悪いことをする人はいないから、悪い人も逆にいなくなると思う。

グー、チョキ、パーの三つがそろって初めてジャンケンというゲームは成立する。
どれひとつ欠けてもその勝負は成立しない。
ならば、グーは己の固さを、チョキは自分の切れ味を、そしてパーその包容力を誇ればいい。
他者との違いを認めつつ、自分のいいところを大切にしていく。
人それぞれ、長所も短所もあわせ持ってひとつの世界を築いていけばいい。
(本文より)


グーもチョキもパーも、どれひとつ欠けてもジャンケンというものは成立しなくなってしまいますよね。
たとえば、自分がパーだったとして、「パーは嫌だ、グーになりたい」と思ったとしても、なることはできないし、たとえなれたとしてもジャンケンという世界が成立しなくなってしまいます。
できるのは、自分がパーであったらパーの良さを伸ばして、他のグーやチョキと一緒により良いジャンケンの世界を作っていくこと。
成長するとは、他の何かになることではなく、本来の自分に戻っていくこと。
本の中で、元気さんは「普通」でいたいのではなくて、「自然」でいたいとおっしゃっていました。
これはとても良い言葉だと思いました。
私も普通でいるのではなくて、自然でいられるようになりたいです。


ただ、今この瞬間を生きる。
人は過去も未来も生きることができず、リアリティーとは、この瞬間だけである。
過去は変えられないけれども、そのとらえ方はいくらでも変えることが出来る。
そのとらえ方によって、過去の経験が豊かなものにも辛いものにも変わる。
そして、今が幸せであれば、未来もまた幸せになる。
だからこそ、今、この瞬間を幸せに生きる。

僕は四国で「今」を生きていた。
この経験によって素晴らしい現実が起こるだろう。
期待はしていない、けれど確信はしている。
(本文より)


「今を生きる」こと。
これほど難しいことはないと思います。
今を生きているつもりでも、心はいつも過去に起こったことをいつまでも考えていたり、未来に対する心配事にとらわれてしまったりします。
そういうとき、目の前の楽しいことも、色あせて、きれいな景色も見逃してしまいます。
「いま」「いま」「いま」と連続して生きることの難しさを私はいつも実感しています。

「期待はしていないが、確信している」という元気さんの言葉は、「いま」に生きるためのとても大切な言葉だと感じました。
未来に期待をせずに確信しているとき、心配や不安も生まれません。
未来に期待するということは、同時に期待通りにならないかもしれないという心配も生まれるからです。
確信とは「確実に信じる」ということです。
確実に信じるとき、それが起きないかもしれないという不安も生まれません。
未来を確信して「いま」を生きれるようになりたいと思います。

それでもやっぱり心が「いま」に戻ってこれないときもあるでしょう。
少なくとも、そのときに、「いま」にいなかった自分に気づける自分でありたいです。
そうやって少しずつ「いま」にいれる時間を長く長くしていきたいです。
毎日が「いま」を生きるための練習です。
練習相手になってくれる「いま」の世界のすべてに感謝したいです。

いつもありがとうございます。


今日も幸せな一日になりますように。




関連記事