牛への道
牛への道 (新潮文庫)
宮沢 章夫 (著)
文庫: 268ページ
出版社: 新潮社 (1997/04)
ISBN-10: 4101463212
ISBN-13: 978-4101463216
発売日: 1997/04
商品の寸法: 15 x 10.6 x 1.2 cm
「自動販売機」である。そもそも、どこのどいつが、千円札を使える自動販売機などつくったのだ。まったく便利なことこのうえないじゃないか。ありがとうございました。ところが、便利の陰に恐るべき問題が潜んでいた。
千円札が戻ってくる。
この本はわたしにとって読書における今年の「初笑い本」となりました。
パッと目をひく発色の黄色が目印です。
(ただ、表紙が外を向いている場合に限ります)。
そもそも、この表紙です。
くねくねした道を歩いている乳牛と、
その背に乗った人物の振り返りざまの表情が本当に愛らしい
イラストは、しりあがり寿さんです。
内容も、ネタ自体はあれです。
誰もが「あるある」「わかるわかる」という庶民の日常レベル。
面白くしているのは作者の着眼点+言葉の使い方です。
面白いと思えるエッセイに出会うといつも感じます。
同じ世界で生きていても、ものの見方/とらえ方で、
こんなにも違う世界になるのか・・・見習いたいものです。
例えば、
「たんにそう命名されたからそうなった」
というタイトルの章。
知人の高橋という男が家に招かれた。
たまたまその日の夕食のメニューは天ぷらだった。
満足した高橋は「うまいうまい」と大喜び。
以後、高橋が訪問すると当然のように食卓に天ぷらが並ぶ。
やがてその家では天ぷらのことを「タカハシ」と呼ぶようになった。
と、
いうような具合です。
あーわかるわかる! あるある、そういうこと。
と、なりますよね
特に具体例は思いつかないですが、
自分の身の回りに、似たようなことがあったような気がします。
個人的には、
「犬を見る人生」と「危うい装置」と「土俵と女」あたりが
とても笑えました。
見開き2ページほどで分けられた章から成り立ち、短く読みやすいので、
通勤時間や待ち時間などの隙間時間用に携帯してはいかがでしょう。
にやにや顔を怪しまれないように注意が必要ですが、
感情を押し殺し平常を装う訓練としても使える本というわけです。
すばらしい