地獄の季節
岩波文庫
ランボオ/作 小林秀雄/訳
出版社名 岩波書店
出版年月 1979年
ISBNコード 978-4-00-325521-6
(4-00-325521-6)
税込価格 504円
また見つかった。
何が、永遠が、
海と溶け合う太陽が。
こんにちは、スタッフのKです。
海には行かれましたか?
上に掲げたのは小林秀雄訳の地獄の季節のうち
「錯乱Ⅱ」と題された散文詩の中の一節です。
これはゴダールの映画なんかでも引用された詩「永遠」の異稿です。
「永遠」の方の冒頭は
あれが見つかった
何が‐永遠
太陽と共に去った
海のことさ (宇佐美斉 訳)
と、別のものです。
ちなみに宇佐美訳の「錯乱Ⅱ」では
あれが見つかった
何が? 永遠
太陽と溶けあった
海のことさ
おもしろいので別の人の訳も挙げます。「錯乱Ⅱ」の方です。
ランボー×堀口大学
もう一度探し出したぞ。
何を? 永遠を。
それは、太陽と番(つが)った
海だ。
ランボー×栗津則雄
見つかったぞ!
何がだ? 永遠。
太陽にとろけた
海。
ランボー×篠沢秀夫
あった、あった!
何が? 永遠が。
太陽に混ざる
海なのさ。
ついでにランボー×中原中也の「永遠」
また見付かった
何がだ? 永遠。
去(い)ってしまった海のことさ
太陽もろとも去ってしまった
こんなに短い文章でも訳者によってこれだけ違いが出るとは
おもしろいものです。
ランボーの詩を翻訳した人はここで挙げた人以外にもたくさんいて
世界中でどれだけランボーが読まれているのか私は知らないのですが
少なくとも多くの日本人が魅了された事は間違いありません。
地獄の季節を書きあげた時、
ランボーはなんと18歳!
彼はもう永遠を見つけていたのです。
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