ふちなしのかがみ

ながしょ

2010年08月01日 10:00



ふちなしのかがみ [単行本]
辻村 深月 (著)

単行本: 277ページ
出版社: 角川書店(角川グループパブリッシング) (2009/7/1)
ISBN-10: 4048739298
ISBN-13: 978-4048739290
発売日: 2009/7/1
商品の寸法: 19.2 x 13.2 x 1.6 cm


俺はもう二度と、蝉取りをすることはないんだと思う。
あいつらを殺すことはおろか、翅をうっかり傷つけてしまったらって考えると、触れることさえ怖くてできない。
それは俺が特別なわけじゃなくて、誰だって、あんな夏を過ごしてしまったらそうなるはずだ。
皆様こんにちは、スタッフCです

本日は夏にぴったりなミステリーをご紹介したいと思います。

おまじないや占い、だれもが知っていた「花子さん」。夢中で話した「学校の七不思議」、おそるおそる試した「コックリさん」・・・学校や夏を舞台にした、ちょっぴり懐かしく、ひんやり怖く、時に切ない五つの短編集です。

中でも本の最後に収録されている「八月の天変地異」はおすすめです。

小学五年生の主人公・シンジには、近所に住むキョウスケという幼馴染がいる。
二人は小学校に入学する前からの付き合いだ。

しかし喘息持ちのキョウスケは体育の授業も満足に参加できず、チーム分けでも班分けでもいつも余る。「暗くて、ちょっと変わった奴」とレッテルの貼られたキョウスケのことをシンジは次第に疎ましく感じるようになる。

秋の遠足の班を決めた時、シンジとキョウスケの班に入ることになった生徒の一人が言う。

「最低じゃん。俺、友達がいない奴らの仲間なの?」。

その時、シンジは空想の少年「ゆうちゃん」の話をする。

ゆうちゃんはかっこよくてスポーツ万能、成績も優秀だ。

クラスメイト達がシンジに羨望のまなざしを向け始める。

シンジ自身、「ゆうちゃん」が架空の人物だと分かっていながら、嘘を吐くことを止められなくなる。

そんなある日、シンジの前にホンモノの「ゆうちゃん」が現われて・・・?

ゆうちゃんは幻なのか?
実在する少年ではないのか?

終盤に明かされるゆうちゃんの正体にはシンジだけでなく読者もきっと胸を打たれると思います。


関連記事