知と愛

ながしょ

2010年03月27日 11:10

改版
新潮文庫
ヘッセ/〔著〕 高橋健二/訳


出版社名 新潮社
出版年月 2004年12月
ISBNコード 978-4-10-200110-3
(4-10-200110-7)
税込価格 660円
頁数・縦 495P 16cm




「君は母の胸に眠るが、ぼくは荒野にさめている。
ぼくにとっては太陽が照るが、君にとっては月が照り、星が光る。」



こんにちは。スタッフのIです。

今日、ご紹介するのは、「知と愛」という本です。

修道院に入り、精神の人になろうとしたゴルトムントは
そこで出会った師であり友でもあるナルチスによって、
自分は精神に仕える人間ではなく、
芸術に仕える人間であることを気づかされる。
そしてゴルトムントは修道院を出て各地を放浪し、
行く先々での様々な出来事を通じて自己を確立していく・・・

ナルチスは修道院での精神と知の道を、ゴルトムントは感覚と愛の道を、お互いに歩き続けます。
そしてたくさんの月日が流れ、お互いが再会したときに、どちらの道も完全な神へつづく道であったと気づくのです。
ナルチスはゴルトムントにこう言います。


「今はじめてわたしは、認識への道がどんなにたくさんあるかということを、精神の道は唯一の道ではなく、おそらく最上の道でもないことを悟った。
精神の道はわたしの道だ、たしかに。
わたしはその道にとどまるだろう。
だが、君は反対の道で、感覚を通る道で、存在の秘密を、大多数の思索家がなしうると同時に深くとらえ、そしてずっと生き生きと表現するのを、わたしは見る」

反対のように見える道、たとえどんな道でもその人の魂が真に望むものであれば、それは愛の神へと続く聖なる道です。
苦しみも、喜びも、悲しみも、幸せも、私たちの中にあり、神の一部であり全部であるから。

私たちの魂はいつも自分自身であることを心の底から欲するでしょう。
どちらの道が正しいとか、どんな人生が正しいというのはありません。
すべての道が正しくて、祝福に満ちており、完全だからです。

それが楽しいのか、そこに行きたいのか、幸せを感じるのか、その人生を心から欲するのか、そんなふうに心と共に歩むとき、私たちは必ずたどり着くでしょう。


愛とは常に私たちの中にあり、私たち自身がいつも愛の道なのだから。



今日も幸せな一日になりますように。







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