風邪の効用
ちくま文庫
野口晴哉/著
出版社名 筑摩書房
出版年月 2003年2月
ISBNコード 978-4-480-03807-4
(4-480-03807-8)
税込価格 630円
頁数・縦 212P 15cm
私は風邪は病気というよりも、風邪自体が治癒行為ではなかろうかと考えている。
ただ風邪を完全に経過しないで治してしまうことばかり考えるから、ふだんの体の弱い処をそのまま残して、また風邪を引く。
長生きしている人を見ると、絶えず風邪を引いたり、寒くなると急に鼻水が出るというふうな、いわゆる病み抜いたという人である。
鼻水が出るというのは空気の中にあるいろいろな悪いものに対する一種の抵抗力の現れですから、鼻水など出るようなら、まあ体中が敏感であると言えるわけです。
(本文より抜粋)
こんにちは。スタッフのIです。
最近、寒くなってまいりましたが、お風邪など引かれていませんか?
私は最近、風邪を引いてしまいました。
そういうとき、いつも手に取るのがこの本です。
「風邪は自然の健康法である。風邪は治すべきものではない、経過するものである」と主張する著者は、自然な経過を乱しさえしなければ、風邪をひいた後は、あたかも蛇が脱皮するように新鮮な体になるとこの本の中で説いています。
本書は、「闘病」という言葉に象徴される現代の病気に対する考え方を一変させるでしょう。
風邪を通して、人間の心や生き方を見つめた野口晴哉さんの名著です。
最近の病気に対する考え方は、病気の恐いことだけ考えて、病気でさえあれば何でも治してしまわなくてはならない、しかも早く治してしまわなければならないと考えられ、人間が生きていく上での体全体の動き、或は体の自然というものを無視している。
仕事のために早く治す、何々をするために急いで下痢を止めるというようなことばかりやっているので、体の自然のバランスというものがだんだん失われ、風邪をスムーズに経過し難い人が多くなってきました。
早く治すというのがよいのではない。
遅く治るというのがよいのでもない。
その体にとって自然の経過を通ることが望ましい。
できれば早く経過できるような体の状態を保つことが望ましいのであって、体の弾力性というものから人間の体を考えていきますと、風邪は弾力性を恢復させる機会になります。
(本文より抜粋)
風邪は治すものではなく、経過するものという考え方は、初めて読んだときはびっくりするものでした。
だって風邪を引いたら治さなければならない、というのがそれまでの私の常識であったからです。
一般に風邪薬とは、風邪の諸症状をおさえるための薬で、「風邪を治す」ための薬はないと言われています。
なので強い薬を飲みすぎるとかえって症状が長引いたり悪化したりしてしまいます。
風邪は万病の元とも言われているように、こじらせると大きな病気にもつながりますが、うまく経過させるとゆがみが軽減され、元より元気になることができるのですね。
私も治そうとはせず、経過させるようにがんばりたいです。(がんばらないようにがんばります)
みなさんも風邪にはどうぞ気をつけてくださいね。
今日も幸せな一日になりますように。
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