パパラギ

ながしょ

2009年06月21日 23:15


ツイアビ/〔著〕 岡崎照男/訳
出版社名 (株)学 習 研 究 社
出版年月 1981年4月
ISBNコード(13桁) 978-4-651-93007-7
ISBNコード(10桁) 4-651-93007-7
税込価格 840円




パパラギ (口にするときは パランギ) とは
白人のこと 見知らぬ人のこと
でも 言葉どおりに訳せば、
天を破って現われた人

ポリネシアの酋長ツイアビがヨーロッパの国々をまわり、その文化と生活様式に関する正確な知識を集めた手記。本書は、それを訳したものである。
こんにちは、スタッフのKです。
夏日が続いていますね。今日はとても風が強いです。みなさんはいかがお過ごしですか。
さて、きょうのおススメは「パパラギ」です。

「パパラギ」とは文明人のことです。わたしたちもサモア語でいうところの「パパラギ」です。
この手記は、ツイアビがパパラギの文化や生活様式について、自分の国の人たちに話して聞かせるために書いたものです。
ツイアビの目に、わたしたちパパラギはどのように映ったのでしょうか。
その一部をご紹介します。


たくさんの物がパパラギを貧しくしている

 それからパパラギはわたしたちのことについてこうも言っている。
 「きみたちは貧しく不幸せだ。きみたちには、多くの援助と同情が必要だ。きみたちは何も持っていないではないか」

 ヨーロッパ人らしいヨーロッパ人ほど、たくさんの物を使う。だから、パパラギの手は休むことなく物を作る。それゆえ、パパラギの顔はたいてい、疲れていて悲しそうだ。

 彼らは物を作らねばならぬ。彼らは物を見張らねばならぬ。物は彼らにつきまとい、小さな砂アリのように彼らの肌をはい回る。彼らは物を手に入れるために、冷酷な心であらゆる罪を犯す。彼らは男の名誉のためでも、力比べのためでもなく、ただただ物のためにのみ、互いに攻撃しあう。
 にもかかわらず、 ― 彼らはみんな、自分たちの生活のたいへんな貧しさに気がついている。


パパラギにはひまがない

 ひまなんて、とてもあったためしがないと言い張るパパラギたちがいる。この連中は、まるでアイツウ(悪霊・悪魔)にとり憑かれた人のように、首のないままに走り回り、行く先々どこにでも、災いと大混乱を起こす。とり憑かれたこの状態は恐ろしい。呪師にもなおすことができず、たくさんの人びとに伝染し、人びとを悲惨に落としてしまう恐ろしい病気。

 私たちは、哀れな、迷えるパパラギを、狂気から救ってやらねばならない。時間を取りもどしてやらねばならない。私たちは、パパラギの小さな丸い時間機械を打ちこわし、彼らに教えてやらねばならない、日の出から日の入りまで、ひとりの人間には使いきれないほどたくさんの時間があることを。


パパラギの職業について ― そしてそのため彼らがいかに混乱しているか

 どのパパラギも職業というものを持っている。職業というものが何か、説明するのはむずかしい。喜び勇んでしなくちゃならないが、たいていちっともやりたくない何か、それが職業というもののようである。



「あなたにそよ風をお送りします。」と、本書のあとがきで訳者の岡崎さんが言っていますが、その言葉通り、そよ風が吹いているような読み心地です。ツイアビの独特の感性が紡ぎだす文章はシンプルですが、本当に面白いです。
この本を読めば、あなたにもそよ風が吹くことでしょう。
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