おとうさん
「おとうさん」
シャーロット・ゾロトウ/文
ベン・シェクター/絵
みらい なな/訳
童話屋
税込価格1,418円
こんにちは。スタッフのSです。
シャーロット・ゾロトウの新刊が出ました。
タイトルは 「おとうさん」
いいお父さん
理想のお父さん
憧れのお父さん
とは、どんなお父さんでしょうか。
どんなお父さんを想像しますか。
この絵本に出でくる男の子には、父親がいません。
生まれた時には、もうその子の父親は亡くなっていました。
男の子は母親から聞いた話から、会ったことのない「お父さん」の姿を思い描きます。
ぼくには とうさんはいない。
ぼくが うまれたとき
とうさんは もういなかった。
かあさんが はなしてくれた とうさんは
おとこらしく りっぱだ。
もし いきていれば
こんなとうさんだ。
ぼくと とうさんは まいあさ いっしょに いえをでる。
「きょうも いいひだ。しっかりやろう!」
あめのひも、かぜのひも
とうさんは おなじことを いって
ぼくが みえなくなるまで てをふる。
ゆうがた とうさんは かえってくる。
とうさんは なつかしそうに ぼくをみる。
とうさんは だまって かあさんに のみものを つくる。
「あいしてる」なんて いわないけど。
お父さんは、男の子がいじめられた時も、怖い夢をみた時も、失敗をして後悔している時も、黙ってうん、うんと話を聞いてくれます。
それだけで、男の子の心は自然とやすらかになるのでした。
このお父さんは、男の子の想像です。
でも、生きていたら本当にこんなお父さんだったんだろうなと思えます。
子どもは子どもなりに、辛い時が多々あります。そんな時に、静かに話を聞いてくれる人がそばにいたら、それがお父さんでもお母さんでも家族でない他人であっても、その子の助けになるでしょう。
ゾロトウの絵本は、外から眺めて読んでいる感じがせず、文章がしっとりと心になじむようなところがいいですね。
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