メメント・モリ 死を想え

ながしょ

2009年05月14日 15:00

言葉のナイフが、胸を抉る


メメント・モリ 死を想え
著者 藤原新也
出版社名 三五館
出版年月 2008年11月
ISBNコード 978-4-88320-448-9
税込価格 1,890円
頁数・縦 172P 20cm
分類 芸術/アート写真集




[要旨]
一瞬で情報の入れ替わるこの空しい時代を、25年間の長きにわたって読みつがれてきたロングセラー。いま、絶望の時代を生き抜くべく、新たな言葉と写真の牙を研ぎ澄まし、新登場!新・写真22点、コピー21点。

[目次]
ちょっとそこのあんた、顔がないですよ;乳海;眠島;瞼心;蝶翳;紅棘;天鏡;汚されたらコーラン
この本で救われた人もいれば、この本で命を絶った人もいる。
25年もの間、多くの人に様々な、中には正反対の受け止められ方をしたなかなかない本です。
今回、より研ぎ澄まされた強固なことばと写真があなたの心をがばりと抉り取ると思います。
賛否両論が激しそうな本です。

人は誰しも、この世に生を受けた瞬間に将来死ぬことが約束されています。
では、死とは何でしょう。

人々の中から、リアルな死が薄れいき、バーチャルな死がはびこっている現代。
日本の自殺者は年々増加し、年間3万人を超えています。
そして、家族が家族を殺すような時代です。
経済状況の悪化やその他諸々の原因はあると思いますが、人々からリアルな死が遠ざかっているのが根底にあるような気がしてなりません。

死を約束されているからこそ、私たち人間は生きることができます。
とすれば、本当に死を知らなければ、本当に生きることもできないのです。

ただ、生きているだけ。そこに意味は無い。

死とはなんなのか、一度立ち止まって考えてみませんか?


個人的に好きな言葉を見つけました。
死体の灰には、階級制度がない。
この一文を読んだとき、死とはなんと自由なものなのだろうと思いました。
そして、死が自由なら、生も自由であっていいのだと。

容赦のない言葉はこころにぐさりと刺さりますが、非常にいろんなことを考えさせられた本でした。


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