アムリタ

ながしょ

2009年01月19日 12:00

アムリタ 上巻・下巻

著者 吉本ばなな
出版社名 新潮社
出版年月 2002年10月
ISBNコード
978-4-10-135914-4 (上巻)
978-4-10-135915-1 (下巻)
税込価格 各500円
分類 文庫 /日本文学
(画像は福武書店版です。現在角川書店と新潮社から文庫が出ています。新潮社版の方が安価で表紙も好きなので、データは新潮社版のものを載せています。)



「神様が飲む水っていう意味なんだ。甘露ってよくいうでしょ。あれ。生きていくっていうことは、ごくごくと水を飲むようなものだって、そう思ったんだ、なんとなく。」
(アムリタより引用)
こんにちは。
スタッフのNです。

吉本ばななさんの本の中で、私が一番好きな本、というか手持ちの本の中で、一番読み返しているものです。
こころをひかれる文章が小説全体に散りばめられていて、読み返すたびに忘れがちなことをたくさん思い出させてくれます。
自分にとって、あまりにおおきな本なので、いつかブログで紹介したいと思いつつも、どうしたら伝わるかなと考えてしまいようやく記事にすることができました。
色々書いていますが、要するに私はこの本が好きで、この本からたくさんの生きるヒントを得たということが伝われば幸いです。

とくに、私が共感した部分をご紹介させてください。


その人がその人であることは、壊れて行く自由も含めてこんなにも美しい、人に決めてもらえることなんて何一つ本当じゃないんだな、としみじみ光るように生きる彼女を見ていて私はよく思った。(アムリタより引用)

人生は選択であり、その選択は自分でしていかないと後悔だらけの人生になると私は思います。
どんなに些細なことも自分で自由に決めていいのです。
例えそのことが世の中の曖昧な常識だとか世間体から外れるようなことでも、人としての道を外れなければ、堂々と生きていけばいい。
後悔しそうになっても、自分で選んだ道なら納得できる日が必ずきます。
周りに合わせて自分を見失って生きるなんてまっぴらだと、私は思いながら生きてます。


何かしてやりたい。
どうして人は人に対してそう思うのだろう。何もしてやれないのに。
(中略)
でも、もっと何かしたい。そう思うことを止めることができない。
私は妹を亡くした。目の前でどんどん死んでゆくのを、止められなかった。だれかが死ぬ、と決めたならそれは止めたいと思う心と全く同じベクトルでもうだれにも止められない。そのことをよく知っている。
だからこそあがくのかもしれない。(アムリタより引用)

何かしてやりたい、ってどうにもならないようなことに対して思ってしまうことが多々あります。
どうにもならないってわかっていても、何とかしたいと思うことは止められない気持ちなのかもしれません。
どうにもならないからこそあがく、まさに文章の通りだと思います。


「あなたを支えているのは意志の力でもなく、その考え方の中にある、何か。何か美しいもの。はじめて笑う時の赤ん坊や、すごく重い荷を持ち上げる瞬間の人間や、すごく飢えている時のパンの匂いや、そういう物に似たもの。」(アムリタより引用)

考え方=生き方、でも、生まれ持った素敵ななにかでもいいかもしれません。
そういうものが、日々を生きる私たちを無意識の内に支え、助けてくれているのではないでしょうか。
そう考えると、なんだかとても心強いものが自分に備わっているんだなぁと思い、頼もしくなります。
時にはそういうことを思い出しながら生きたいですね。


読み返すたびに忘れがちなことを思い出させてくれるアムリタ。
この本は、私にとってこれからの人生の一冊になってくれそうだと感じています。
この出会いに感謝!!
そしてこの記事を読んでいただいた方にも、素晴らしい人生の素晴らしい一冊との出会いがありますように。
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