風の谷のナウシカ

ながしょ

2008年11月14日 11:10

アニメージュコミックスワイド版
宮崎 駿


出版社名 徳間書店
出版年月 1995年1月
ISBNコード 978-4-19-770025-7
(4-19-770025-3)
税込価格 500円



「いのちは闇の中にまたたく光だ!!」



ユーラシア大陸の西のはずれに発生した産業文明は
数百年のうちに全世界に広まり
巨大産業社会を形成するに至った
大地の富をうばいとり大気をけがし
生命体をも意のままに造り変える巨大産業文明は
1000年後に絶頂期に達し
やがて急激な衰退をむかえることになった
「火の7日間」と呼ばれる戦争によって都市群は有毒物質をまき散らして崩壊し
複雑高度化した技術体系は失われ
地表のほとんどは不毛の地と化したのである
その後産業文明は再建されることなく
永いたそがれの時代を人類は生きることになった

「風の谷のナウシカ」1巻より


ナウシカは闘う。どんなに相手が強大であっても闘う。
それは本当の強さを知っているから。強さの意味を知っているから。
ほとんどの頑強に見えるものの強さは、本当の強さではない。
それは弱さを覆い隠すための鎧でしかない。
ナウシカはどんな鎧もまとわず、そのままの自分で飛び込んで行く。
弱さから目をそらしたりしない。
弱さの中に本当の強さがあることを知っているから。

「苦しみや悲劇やおろかさは清浄な世界でもなくなりはしない
それは人間の一部だから…
だからこそ苦界にあっても喜びやかがやきもまたあるのに」

人間の一部であるものをナウシカは抱きしめる。母のような愛を持って。
輝く星空は、昼間は決して見ることはできない。
なぜなら、星は夜輝くものだから。
苦しみも涙も人間の一部ならば、それを抱きしめて生きよう。

ナウシカは物語の最後に、誰にむかうともなく言う。

「生きねば…」

生きようでも生きたいでもなく、生きねば。
それにナウシカの気持ちがすべてこめられているように思う。

ナウシカとは、元々はギリシヤの叙事詩オデュッセイアに登場するパイアキアの王女の名前である。
神話や伝説のように、この物語もきっと長く語り継がれていくのだろう。



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