熊大の先生お2人の本が同日発売 + 気になる復刊、しかも完全版として

ながしょ

2017年04月08日 11:02


地元の人でも知らないような、熊本まち歩きのスポットやテーマについて、最新の研究成果や興味深い学問的蘊蓄(うんちく)をまじえて紹介されています。まさに本書を製作しているさなかに熊本地震が起きたのだそうですが、それを乗り越えて完成された労作です。熊本を歩く、熊本を知る、熊本を読む/見る、熊本で暮らす、というテーマで、熊本に関する、結構ニッチなところまで分け入っていきます。当店や長崎次郎書店のこと、当店も取り組んでいる「上通スタンダード」などについても触れて頂いています。きっと熊本を知っていればいるほど面白いガイドブック。熊本市内の博物館と文化施設案内も収録。
大学的熊本ガイド━こだわりの歩き方/熊本大学文学部・編、松浦雄介(熊本大学文学部教授)・責任編集/昭和堂/2484円(税込)



哲学は役に立つのか?………ある独特の仕方で役立ちます!ということがとてもわかりやすく順序立てて書かれています。できるだけ誰もが納得できるような考えに到達するための、力強いさまざまな思考法の“奥義”。本書を通じてそれを体得すれば、意見や価値観が食い違ってしまった時なんかに「結局人それぞれ」で済まされがちな、絶対の正解のない問いにだってしっかり向き合えるようになります、答え抜けるようになります。ルソーやヘーゲルだってきっと面白くなる、人生に役立つ哲学思考のコツ。
はじめての哲学的思考/苫野 一徳(熊本大学教育学部准教授)/ちくまプリマー新書/907円(税込)





タイトルは「うつつぐるま」と読みます。今や著作のほとんどの入手が容易ではなくなってしまっていた熊本出身・福島次郎さんの「現車」が復刊されました。小旅館の主の祖父、博打の胴元の娘、興行師の夫らが、熊本を舞台に生きる様を描いた本作、前・後篇に分かれていますが、後篇は雑誌連載後、初の単行本化です!何度か芥川賞候補にもあがった実力派の作家です。1998年には、小説『三島由紀夫―剣と寒紅』に、三島由紀夫との関係についてショッキングな形で書いたことで世間を騒がせたこともありました…
現車(前篇・後篇)/福島次郎/論創社/前篇2592円(税込)、後篇2808円(税込)

福島次郎(ふくしま・じろう)
1930年、熊本市生まれ。1953年、東洋大学国文科卒業後、八代工業高校に赴任、その後、国語教師として熊本県内の公立高校に勤務。1957年、「阿武隈の霜」で第8回九州文学賞受賞。1961年、『現車』(日本談義社)で第3回熊日文学賞受賞。1987年、教職を退く。以後、執筆活動に専念。1996年、「バスタオル」を『詩と眞實』2月号に発表、『文學界』6月号に転載。第115回芥川賞候補になる。同作品で第25回詩と眞實賞受賞。1998年、「蝶のかたみ」を『文學界』11月号に発表。第120回芥川賞候補になる。2006年2月22日、死去。享年76。




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