現在地の再確認と、そこから未来を構想する力を得るために
被災地からの報告や、熊本在住の書き手の原稿や日記を1冊にまとめた『熊本地震2016の記憶』が発売されました。日本近代史家の渡辺京二さんが地震直後に雑誌「文藝春秋」に寄稿した文章や、俳句を通して地震後の心の変化を探った、俳誌「阿蘇」を主宰されている岩岡中正さんの「地震俳句」、上通町の古書店・舒文堂の河島一夫さんの「震災日記」、熊本大学文学部教授・稲葉継陽さんの古文書から読み解く災害と復興の記録など、これらはあくまでも記録の一部ではあれど、様々な角度から熊本地震を改めて見つめます。熊本地震発生からまもなく1年、それぞれの地域、個人において決して一様ではない復旧・復興への途上で、現在地の再確認と、そこから未来を構想する力を得るための一助となればという思いを込めて編まれた1冊です。
熊本地震2016の記憶/岩岡中正・高峰武・編/弦書房/1944円(税込)
以下に目次掲載しています。
熊本地震2016の記憶 目次
【Ⅰ】想う
・熊本の地から 私には友がいた!〈渡辺京二〉
・「おそれ」という生命感覚が呼び戻された〈緒方正人〉
・一変した古里の風景〈高峰武〉
・存問と息災〈岩岡中正〉
・暮らしが消えた故郷〈浪床敬子〉
・当事者・研究者としての視点で〈和田要〉
・南阿蘇の今、これから〈毛利聖一〉
【Ⅱ】詠む
・地震俳句 驚愕から復興へ〈岩岡中正〉
【Ⅲ】書く
・古書店主の震災日記〈河島一夫〉
【Ⅳ】繋ぐ
・古文書から読み解く震災〈稲葉継陽〉
【Ⅴ】資料
・熊本地震メモ/熊本地震の経過
編者プロフィール
岩岡 中正(いわなか・なかまさ)
昭和23年、熊本市生まれ。熊本大学名誉教授、博士(法学)、俳誌「阿蘇」主宰。著書に『詩の政治学―イギリス・ロマン主義政治思想研究』『石牟礼道子の世界』『ロマン主義から石牟礼道子へ』『虚子と現代』『子規と現代』。句集に『春雪』『夏薊』『相聞』。
高峰 武(たかみね・たけし)
1952年、熊本県玉名市生まれ。熊本日日新聞論説主幹。著書に『新版 検証・免田事件』(現代人文社)、『水俣病を知っていますか』(岩波ブックレット)など。
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